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2019年6月20日木曜日

エアコンのカビ、原因は“意外な場所”に…増殖する仕組みとは?


ボタン一つ押せばサーッと涼風が広がり、今夏も快適に、と思ったら、「なんだ、このにおい!?」……。
本格的な夏目前のこの時期は、エアコン内部のカビに出くわし、健康被害に悩む人が増える。専門家は「エアコンはカビにとって天国。汚れるべくして汚れている」。
一体なぜ? 
今すぐできる掃除術と、カビが発生する仕組みを見ていこう。



*  *  *
 5月、NPO法人カビ相談センター(東京都大田区)には、カビによる健康被害の相談が寄せられていた。

「エアコンをつけると体調が悪くなる」

「異常なにおいがする」

 高鳥浩介代表は「体調を崩す要因として、カビなどの菌やホコリを吸い込んでしまい、呼吸器系の疾患、特に気管支や肺を刺激されることが多い」と話す。

 特に多いのが夏型過敏性肺炎だ。
千葉大学真菌医学研究センターの亀井克彦教授によると、「トリコスポロンというカビの一種が原因といわれるアレルギー性肺炎で、肺の奥にある肺胞と肺胞の間の間質で起こります。
たんは出ませんが、空せきを起こし、熱が出ることが多い」という。

 では、どうやってエアコンのカビのサインを見つけたらいいのか。
「おそうじ本舗」を全国展開するHITOWAライフパートナー(東京都港区)の尾崎真・営業企画部部長が言う。

「吹き出し口にカビが付着しているのなら、それはもう末期状態で、中はカビだらけ。
カビが最後に到達するのが吹き出し口です」

 ならば、すぐにでもカビ掃除に取り掛からなくては。
と、ここで尾崎さんから「待った」がかかる。聞くと、素人ができるエアコン掃除は一部分だけだという。

「プロは全部分解して、水と洗浄剤を合わせて12~15リットル使い、高圧洗浄機を用いて丸洗いします。メーカーや年式によって何百通りもタイプがあって、センサー付きの内部お掃除ロボットだけでもねじ20~30本。熟練のプロでも外すのに1時間、戻すのに1時間かかるエアコンもあるんです」

 それでは、素人でもできるエアコン掃除を見ていこう。
初めに、安全のためにエアコンのプラグを抜く。作業中に誰かがリモコンを操作したり、タイマー機能が作動してしまっては危険だ。
プラグが見当たらない場合はブレーカーを落とそう。
また、高いところでの作業のため、椅子や脚立の上に立つ場合は、必ず補助員をつけること。落ちて大けが、という事態は避けたい。

 次に、風向きを調節するルーバーの掃除だ。上下のルーバーを手でゆっくりと動かし、スマホのライトを使って、中で羽根のように何枚も並ぶ左右のルーバーを確認。
羽根の表裏や隙間に付着したカビを拭き取っていく。

 ここで使うのが、お手製アイテム「お掃除棒」。割り箸にキッチンペーパーを挟みこみ、巻き付けて輪ゴムで留める。
ぬるま湯で軽く湿らせてから拭き掃除に使おう。

「指や手をねじ込んでも届かないし、硬いものを使うと本体に傷がつく。割り箸なら機械を壊す心配もなく、キッチンペーパーは汚れたら交換して使えます。洗剤は使いません。拭き取るのが大変です」(尾崎さん)

 続いてフィルター掃除だ。
本体カバーを開けたら、掃除機でフィルター表面のホコリを軽く吸い取る。
取り外すときに降り落ちるホコリをおさえよう。
取り外したフィルターとともに浴室へ。

「フィルターをひっくり返し、裏側からお湯のシャワーを当ててホコリを流しましょう。
向きを間違えると逆効果ですのでご注意を。目の中にホコリが残っていたら、歯ブラシに中性洗剤をつけてこすってください。
最後に、乾いたタオルでポン、ポンと挟んで水分を拭き取ります」(同)

 油汚れが付着しているときは、水洗いだけでなく洗剤使用が有効だ。
中性洗剤を指定するのは、フィルターの樹脂を傷めないため。
紫外線が当たり、劣化が進んだフィルターに刺激の強い洗剤を使うと、折れてしまうことがあるという。

 素人が手を出せるのはここまで。尾崎さんによると、新品のエアコンを買っても、丸洗いしなければ1~2年でカビが繁殖し始める。
高圧洗浄機を使ったプロの掃除で一度内部をリセットしてから、2週間に1度は、ルーバーとフィルターを掃除してほしいと呼びかける。
ちなみに、プロによるクリーニングの相場は1万~2万円程度だ。

 そもそも、エアコン内部のカビはどうやって発生するのか。

 エアコン上部から吸い込んだ室内の空気は、フィルターを通ってホコリや汚れを落とし、室外機から冷たいガスを送り込まれているアルミフィン(熱交換器)を通って冷やされ、筒状の送風ファンの力で冷風として送り出される。

 このとき、フィルターではキャッチできない細かなハウスダストや油を含んだ煙などが吸い込まれると、アルミフィンに付着して目詰まりを起こす。
冷たいアルミフィンからは常に結露水が発生し、汚れとともに下へ流れ、ドレンパンという受け皿部分にたまる。

 本来、この水はドレンホースを通って室外へ排水されるが、ホコリがダムのようにたまってくると排水機能が落ち、湿度が上がり、カビにとって格好のえさ場になる。
こうして発生したカビは、ファンや吹き出し口のほうへ入っていき、冷房を使わない冬の期間もさほど死滅せず、再び夏に繁殖を始めるのだという。

 さらに、尾崎さんによると、日本の住宅事情もエアコン内部のカビ繁殖に一役買っているという。
昔はキッチンとリビングが別々の構造が主流だったが、今はキッチンとリビング・ダイニングが連なったLDKが一般的。
そうすると、キッチンの換気扇で吸いきれない油を含んだ空気を、エアコンが吸い込んでしまうという。
一方、寝室や子供部屋などのエアコンは比較的カビが繁殖しにくいそうだ。

「換気扇のほうが常に油汚れを吸うので性能が落ちやすい。エアコンと同時に使うと、吸い込む力はだいたいエアコンが上回ります。高性能化も進んでいるので、エアコンがどんどん広範囲の空気を吸い込むようになってきた。キッチンから来る油汚れには、カビの大好物のたんぱく質が含まれるので、ますます繁殖が進んでしまうんです」

 前出の高鳥代表は「一般消費者が自分でクリーンにできる機能をつくってほしい」とメーカーに求める。毎年のように酷暑に見舞われる日本。まずはリビングのエアコンの吹き出し口を確認してみよう。(本誌・緒方麦)

※週刊朝日  2019年6月28日号

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